自他の命を大切にし,自ら考え行動する児童の育成
―仲間や地域とつながり,
支え合う集団づくりをめざしてー
本校は,児童数10名と少人数であり,子ども同士小さい時からお互いによく知っていて,個々のつながりも深い。子どもたちは,素直にのびのびと育っている。地域の方も子どもたちのことをよく知り,熱心にかかわってくれている。子どもたちが地域に出て様々な行事に参加したり,地域の方を学校に招いて一緒に活動したり,地域とのつながりも深い。しかし,その反面,限られた集団で生活しているためか,自分から進んで行動する力や積極的にかかわる力,自分の思いを伝え表現する力などが育ちにくいという課題が見られる。
そこで,本校では,少人数という利点を生かした様々な体験活動を通して,「伝え合う力を培い,自ら考え行動する子ども」の育成を研究テーマとして研修に取り組んできた。また,人権教育や特別支援教育を基礎に,一人ひとりの自尊感情を高めるとともに人とかかわる力を育成し,豊かな人間関係を結ぶことのできる児童の育成をめざしてきた。だんだんと,与えられた場で自分の思いをのびのびと表現することができるようになってきた。また,社会のグローバル化が進む中,国際理解教育の実践研究にも早くから力を注ぎ一定の成果を上げることができた。
しかし,児童には少人数の濃密な人間関係からくる甘えもあり,時と場所に応じて主体的に判断する力や伝えようとする態度の育成にはさらなる研究が必要である。また,本校は海岸部に隣接しており,南海トラフを震源とする巨大地震,津波から児童の命を守る防災教育は喫緊の課題でもある。自他の命を大切に思い,互いの「命を守る」ために自ら考え行動する力が求められている。
本年度は,昨年度までの研究成果をもとに,知的活動や感性,情感の育成,コミュニケーションの基盤である言語活動を教育活動全体を通じて充実させていきたい。そして,人権教育・特別支援教育・防災教育の観点に立ち,人と人との関係を構築し,自助共助の精神を養い,仲間や地域とつながり,支え合う集団づくりについての研究と実践を進めていきたい。
<個々につけたい力>
○自己存在感を見い出す力
○自分のよさに気づき,力を発揮できる力
○自分で考え,判断し,行動できる力
○問題を見つけ,自分で解決する力
<人とのかかわりの中でつけたい力>
○一人ひとりの個性を理解し大切にする力
○相手の気持ちや考えを受容する力
○人の意見に左右されず,しっかり自分の考えをもつ力
○進んで仲間作りをし,つながり合える力
○共助の精神をもち,助け合う力
<防災教育を通してつけたい力>
○自助・共助の精神をもって行動する力
○命を守るための方法を身につけ,実践する力
○率先避難者として,自ら避難できる力