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ICTを活用した海外生徒との継続的対話

【単元・活動名】

  ICTで教室と世界をつなぐ ——ブラジル在住学生との継続的なオンライン対話活動

【ICT活用フェーズ】 Mレベル(変容:Modification)

 ※時間と距離の制約を越え、教室にいながら海外の同世代と「生きた英語」で交流するタスクへ変容

【実践の背景と従来の課題】

 従来の国際交流学習では、手紙やビデオレターの交換、あるいは単発のイベント的な交流が主であった。そのため、あらかじめ用意した原稿を「読み上げる」活動に留まりやすく、生徒が「自分の言葉」として英語を用い、即興的に意思疎通を図る場面の設定が困難であった。

【実践内容(Mレベルへの転換)】

 Web会議システムを活用し、ブラジル在住の学生と「定期的・継続的」な対話活動を実施した。 日本時間の朝(相手国の夜)という時差の課題を、相手側の多大な協力とICTの接続利便性によって乗り越え、次の変容を実現した。

1.「発表」から「対話」へ

 用意したスクリプトに依存せず、画面越しの相手の反応を見ながら、その場で自分の思いや考えを伝える活動へとシフトした。

2.日常化による心理的障壁の低減

 単発のイベントではなく複数回継続することで、生徒の緊張感が和らぎ、「間違ってもいいから伝えたい」という意欲の向上が見られた。

3.Authenticityの確保

 教科書の中の英語ではなく、リアルタイムに存在する「相手」を意識したコミュニケーション活動が成立した。

【成果】

 生徒からは「原稿がないと不安だったが、相手が頷いてくれたことで自信がついた」「教科書の表現が実際に通じる喜びを感じた」といった声が上がっている。ICTによる同期型接続が、言語学習における「必然性」を生み出し、生徒の主体的な発話姿勢を大きく変容させた。

【今後の展望と課題:生成AIによる個別最適化】

 対話の機会が増えた一方で、生徒個々の英語力(語彙力や即興性)の差が、対話の質に影響を与える課題も見えてきた。 そこで今後は、「生成AI」を対話のトレーニングパートナーとして導入してみたい。

  • AIとの事前壁打ち練習

 ブラジルとの接続前に、生徒一人ひとりが生成AIを相手に対話練習を行う。AIに「ブラジルの学生役」などの役割を与え、自分のレベルに合わせたペースで模擬会話を行うことで、心理的安全性を確保しながら発話量を増やす。