2学期の読み聞かせが始まりました。
いつものように,低学年は井原さん,中学年は岡部さん,高学年は籔原さんが読み聞かせをしてくれます。
中学年は,「ランドセルは海を越えて」という内堀タケシさんのノンフィクション作品でした。岡部さんは,図書館でこれを選んできて読み聞かせをしてくれました。実はこの本,国語の教科書に載っているのです。
アフガニスタンは長く国が安定しないこともあり,国民の3分の2以上が支援を必要としている状況が続いています。
そんな中,現地の国際協力NGOジョイセフから「長引く紛争で子どもたちの学用品が不足している。」という情報を受けた化学メーカー「クラレ」が発案し,国際社会貢献活動として2004年に始まったのが「ランドセルは海を越えて」プロジェクトです。日本から6000km離れたアフガニスタンの子どもたちにランドセルを届ける取組は,今年で19年目を迎えています。今まで,趣旨に賛同する全国の方々から提供された20万個以上のランドセルが海を越え,アフガニスタンの子どもたちの希望の光となっています。
作品を読むと,日本で今あたりまえにある生活や学校での学びが,あたりまえでない地域があることにショックを受ける人もいると思います。学校に通うこと,学ぶこと,幸せ,それらの意味について考えさせられます。
アフガニスタンといえば,現地の人に寄り添い,復興に生涯をかけた中村哲医師に思いをはせる人もいるでしょう。中村医師は,干ばつによる食糧不足に苦しむ現地の人を目の当たりにし,独学で土木技術を学び,2003年から用水路の整備や農地の再生に取り組みました。中村医師の手がけた用水路は,今も65万人の命と生活を支えています。中村医師は,現地の人たちと信頼関係を築き,こうした用水路をアフガニスタン全土に広げていこうとしていました。しかし,2019年12月4日,車で移動中に武装グループから銃撃を受け,志半ばで亡くなりました。
中村医師は,生前このように語っています。「水が善人・悪人を区別しないように,誰とでも協力し,世界がどうなろうと,他所に逃れようのない人々が人間らしく生きられるよう,ここで力を尽くします。内外で暗い争いが頻発する今でこそ,この灯りを絶やしてはならぬと思います。」
自分が今いる場所や立場で,自分にできる精一杯のことをする。中村医師は,あるべき支援の姿を世界中の全ての人に教えてくれたのです。